1、下見の必要性   注意すべき天候とは

今晴れていても安全とは言えないのが水辺の恐ろしさです。局地的な豪雨から身を守るために最新の気象情報を確認することを忘れずに。 警報や注意報が発令されていないかと同時に案内人は遠くの雷鳴風向きの変化など周囲の状況に敏感でなければなりません。 異変を感じたら直ちに避難誘導できる通路を確保しておきましょう。特に「大気の状態が不安定」の日には要注意です。

川の下見写真。川の形状は変わるものです。 イベント開催の前日、あるいは前々日に現場の最終確認をすることをお勧めします。 新たな危険個所等が見つかる場合も少なくありません。 また近隣に住宅がある場合にはできればイベントの趣意説明と規模を伝えておきましょう。 またつり人や野鳥観察者など他の河川利用者にわかるようにイベント区域を現場に告知しておけば無用なトラブルを避けられます。

2、水辺の体験においての救急マニュアル

・予想される事故や症状に対して予め用意しておくもの

救急セット(ファーストエイドキット)

救急セットの写真消毒薬、救急絆創膏、ガーゼ、サージカルテープ、包帯(三角巾)、抗ヒスタミン軟膏(虫さされ薬)、虫除けスプレー、シップ、タオル、ウエットティッシュ、ティッシュ、はさみ、ピンセットなどを用意しましょう。
水道がない場合が多いので、傷口を洗い流したりするためのきれいな水も必要です。

比較的市街地の近くの川など水辺で行うので、それほど多くのキットが必要なわけではありません。 大きなケガ、重篤な症状の場合は応急措置とともにすぐに救急車を呼ぶか、病院へ運びましょう。 事前に会場が携帯電話が通じる場所なのか、もしくはどこからなら通じるか、または公衆電話の所在地など確認しておくとよいでしょう。

※予想される事故、症状およびその応急措置方法
すり傷、切り傷
浅い傷は傷をきれいな水で洗い流し、消毒後絆創膏かガーゼで覆う。深い切り傷は病院へ。
ねんざ、打ち身、骨折
軽い捻挫、打ち身はシップを貼る。骨折などが疑われる場合は添え木など固定して病院へ。
頭部打撲の場合はその後に元気であっても病院で検査をすべきです。
虫さされ
カやブヨなどは抗ヒスタミン軟膏を塗り対応します。しかしスズメバチに刺された場合は即病院へ搬送しましょう。
熱中症
薬は使わない。熱中症にかかっていることに気づいたら、日陰の涼しい場所に連れて行き、休ませる。首、わきの下、足の付け根などを濡れタオルなどで冷やす。
飲水出来る場合はスポーツドリンクなどを飲ませる。重篤な症状の場合は病院へ。   
溺水(溺れること)
呼吸があるかどうか確認し、呼吸がない場合は救急車を呼び、その間に心肺蘇生法(人口呼吸や心臓マッサージ)を行う。

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3、はじめての釣り・マナーとルール

埼玉県の川や湖沼で釣りを楽しんでいただく方のために、必要なマナーとルールってなんだろう?水辺とお魚を愛する 一般参加者の皆さんに知っていただきたい事項をまとめてみました。 従って内容的に本手引きの他項目と重複する部分もあります。またこの「はじめての釣り・マナーとルール」は埼玉県内での釣り体験や釣り大会などの 参加者の皆さまにプリント配布できるように印刷用ページにリンクしています。

はじめての釣り・マナーとルール

マナー    〜人や自然に迷惑をかけないようにすること、それがマナーです〜

釣りは自然の中の遊びです。だからまず出かける前に行き先の天気を確認しましょう。今は天気が良くても周りの天気は大丈夫かなと考えることが遭難を未然に防ぐことに繋がります。安全に釣りを楽しむことは最もたいせつなマナーなのです。
そして自然や生き物に敬意を持ちましょう。そして自分以外の人が不快になるようなことはしないように心掛けることが必要です。

  • 釣り場で会う人には自分から必ずあいさつしましょう
  • 悪天候なら勇気を持って中止。特に大気の状態が不安定の日には要注意です
  • 釣りバリ・釣り糸の切れ端など小さなゴミも持ち帰るようにし、絶対に捨てないようにしましょう
  • 立ち入り禁止区域や危険な場所では絶対につりをしないようにしましょう
  • 迷惑駐車をしないよう気をつけましょう
  • 小さい魚は放しましょう
ルール     〜釣り人に関わる法律、条令、釣り場の規則などのことです〜

釣り人に関係する法律は意外に多いことを知りましょう。実際の釣りの現場では各漁協による遊漁規則や管理釣り場ではローカルルールが 重要になります。
一方で国としての大きな枠組みのなかでは漁業法や水産資源保護法そして外来生物法も釣り人に関係する法律です。 また各都道府県の条例や漁場管理委員会の指示は必ず守らなければならない重要なルールです。

  • 魚種によっては禁漁の期間や体調制限などが決められています。都道府県により内容が異なりますので注意が必要です。(埼玉県漁業調整規則・第23条参照)
  • 漁協のある河川では遊漁券を管理釣り場ではチケットなど、釣りをはじめる前に必要な釣り券を購入しどこからでも見えるように 帽子などにつけましょう。
  • 県内のコクチバスのリリース禁止は埼玉県漁場管理委員会の委員会指示です。
安全に楽しく釣るための準備    〜身につけよう後方確認の習慣〜

まずは後方確認!まわりに注意してから釣り始めましょう。 「釣りバリはバーブレスにしてね」看板 帽子、釣りゴミ入れは持っていますか。サングラスは目を守るのに有効です。釣りバリはバーブレス(針先のカエシの無い釣りバリ)に なっていますか。 万一体に刺さってしまった場合の怪我を軽減できます。また魚を元気にリリースするためにはバーブレスフックは有効です。 そしてリリースにもコツがあります。まず魚を水から陸にズリ上げないこと。そして魚体に乾いた手で触れないようすることが基本です。 どうしても魚に触れる必要がある場合には十分に水に浸した手で優しく魚を支えるようにしましょう。

※埼玉県漁業調整規則より抜粋

第23条 次の表に掲げる水産動物は、表下欄に掲げる期間は採捕してはならない。

水 産 動 物 禁  止  期  間
さ  け 1月1日から12月31日まで
あ  ゆ 1月1日から5月31日まで
ます(やまめを含む。以下同じ。) 10月1日から翌年2月末日まで
い わ な 10月1日から翌年2月末日まで
かわます 10月1日から翌年2月末日まで
 

(全長等の制限)

第24条 次の表に掲げる水産動物で、表下欄に掲げる全長のものは、採捕してはならない。

水 産 動 物 制  限  事  項
ま  す 全長 15センチメートル以下
にじます 全長 15センチメートル以下
い わ な 全長 15センチメートル以下
かわます 全長 15センチメートル以下
こ  い 全長 18センチメートル以下 
そうぎょ 全長 18センチメートル以下
れんぎょ 全長 18センチメートル以下
う な ぎ 全長 26センチメートル以下 
しじみ 殻長 1.5センチメートル以下

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4 採集のコツ

帽子をかぶりましょう 釣りは忍者のようにします。魚を驚かしてしまうと釣れなくなってしまいます。そのためには、気配を消して大声や物音をたてないことが 基本です。魚のいる場所に近づき過ぎないようにしましょう。太陽の位置を考えて川面に影を落とさない場所から釣ることも 大切です。つり竿は長すぎるものはお勧めできません。初めての餌釣りならば3メートル前後の長さがトラブルが少なくお勧めできます。

やった、釣れたよ!写真そして餌を投入する時には上から振り込まずに、餌の付いたハリをブランコのように下から送り込みます。 水面を叩かないようにすれば間違いなく釣結果は倍増しますよ。一般的な小物釣り仕掛けを図1に示しましたので参考にしてください。

タモ網を使った魚捕りは怪獣のようにやりましょう。たも網を使った魚捕り、ガサガサ なるべくにぎやかに川の中を歩くと、驚いた魚は石の下や川べりに逃げ込みます。魚が逃げ込んだポイントの 下流側にタモ網をセットし、 足を使って網の方向に魚を追い出し、素早くタいモ網を引き上げます。いっきに引き上げるまでタモを絶対に動かさないことがコツです。

5 観察と用具 

採集した生き物を入れる大きな水槽(60p推奨)2つと、一匹ずつ観察できる小さな水槽(専用のアクリルケースか、プラスチックの虫かごと定規を組み合わせたもの)が5つほどがあると便利です。 水槽が複数必要な理由ですが、例えばザリガニとドジョウなど他の魚はすぐ挟まれてしまうので一緒に入れないほうが良いでしょう。 またコイも油断していると稚魚を吸い込んで食べてしまうので注意が必要です。
その他に水槽の生き物に空気をおくるエアレーション用に携帯乾電池式のエアポンプ一式は必需品と言えるでしょう。 また水槽の重さに耐えられる机があると多人数による観察が非常にしやすくなります。

展示観察用水槽、机、エアーポンプ写真 観察用アクリルミニ水槽・写真

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6 ところで捕まえた生き物はどうしますか

ここで考えたいのは、生き物を観察記録しイベントが無事に終了したあとのお話です。さあそれではシュミレーション問題です。

Q.イベントは天候にも恵まれ参加者が力をあわせてがんばったおかげでモツゴ、オイカワ、コイ、バス、ドジョウ、ギバチなどのお魚やアメリカザリガニが採れ観察できました。子供たちは「お家で飼ってみたーい」の大合唱。 さあこんな時、案内人のあなたはどうしますか?子供が飼っても差し支えない種類は何でしょう。

A.大きな二つの選択肢があります。

一つの方法として最初から観察はするけれどもその後はすべての生物をリリース(再放流)すると決めてイベントを行う方法です。 この場合事前にそのことを子供たちにはアナウンスしておいた方が良いと思います。最後にがっかりされると悲しいものです。 ちなみにもしもスモールマウスバスが採取された場合には埼玉県の内水面漁場管理委員会よりリリース禁止の委員会指示が出ていますから 美味しく食べることが最善の方法と言えるでしょう。

それではもう一つの選択肢「お家で飼ってみたーい」と言う子供の望みを実現させてあげるにはどうしたらよいのでしょうか。 これが結構難しい法的な問題と関係しています。

まず例で挙げた生物のうちで特定外来生物に指定されているとブラックバスは飼育、栽培、保管、運搬が禁止されています。つまりお家で飼うことは出来ないということです。 運搬も禁止ですから生きたまま川から持ち出し移動させることもできません。リリースするか食べるかという選択肢になります。またアメリカザリガニは要注意外来生物に指定されています。 新たな地域に広がらないように注意しましょう。
コイの場合、コイヘルペスウイルス病のまん延を防止するため埼玉県内水面漁場管理委員会よりコイの生きたままの持ち出し及びコイの 持ち込みを禁止する委員会指示が出されています。(平成22年3月現在) また埼玉県の漁業調整規則により全長18p以下は採取できない制限が設けられています。従って18pよりも小さなコイは持ち帰らずにリリースしなければなりません。 ここまでが法規的に制限される部分です。

それではモツゴ、オイカワ、ドジョウ、ギバチは堂々と子供たちに飼ってもらえるのかというと、このうちギバチは環境省の定める 絶滅危惧種に指定されておりリリースすべき魚と言えるでしょう。

結局のところモツゴ、オイカワ、ドジョウの3種類は飼育可能というのが正解です。こんなケースは都市部の湧水のある河川では 実際に起こりやすい事例と言えるでしょう。

 「アー面倒くさいなあー、どうせ子供が魚を飼ったってすぐに死んでしまうから何も持ち帰らせないのが自然保護だよ」と言う声が聞こえてきそうです。 でも本当にそうなのでしょうか。生き物を飼うことも、その命がはかなく死んでしまうのを体験することも子供の成長に必要だとは思いませんか。
私たちは子供たちに敢えて小魚や生き物たちを飼ってみてほしいと考えています。 例えすぐに魚を殺してしまったとしても良いのです。 川がどんなに素晴らしく偉大な役目を担っているのか、生き物が死ぬということはどうゆうことなのか体感することが、真の環境教育へと繋がっていると信じるからです。

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