水辺の生き物調査体験の手引きの目次

はじめに

1. [ 趣旨 ]  水辺体験の必要性

「川にはどんな生き物が棲んでいるのかな?このお魚って何だろう?」

そんな子供たちの素朴な疑問に応え、NPO法人バーブレスフック普及協会では水辺の生き物を身近に感じてもらうために、 こども自然体験教室や親子釣り教室の運営を毎年行って来ました。特に子供達にとっては川の流れや生き物の感触を直に体験する事が、 自然に興味を持つきっかけ作りとして大変重要だと考えたからです。しかし魚が取れた時に喚声を上げ目を輝かせるのは子供たちだけ ではありませんでした。聞けば親たちのほとんどは子供時代に川遊びをしていないことが判りました。親たちにとっても釣りや魚取りは 初体験だったのです。
現在の学童(小中学生)の父母世代は昭和40年代が中心で日本の高度成長期の真っ只中に生まれ、それに伴う河川の汚染状況も 一番酷い時代に子供時代を過ごした世代です。また当時の風潮として「水の事故」を恐れるあまりに子供たちを川に近づかせないことを 第一にする教育や指導が行われて来たことも否めません。このような反省をどのように今後の世代に反映させるべきか皆で考える必要が あるのではないでしょうか。

2. [ 目的 ]  多様な生物からなる河川生態系への知識と関心を高めること

川は四季を通じで美しく、多くの生き物がひしめく興味の尽きない大切な場所であることを人々に楽しく安全に伝えるにはどうしたら よいのでしょうか。
それには「水辺の生き物体験」を運営できる案内人が不可欠です。本サイトの目的はまさにその水辺案内人のための手引きとなることです。 まずは大人たちが身近で貴重な守るべき河川環境を認識しなければ始まりません。もちろん魚類だけでなく水辺の鳥類や動植物との関わりを 観察することで水辺生態系への理解は飛躍的に深まることでしょう。この手引きを通じて一人でも多くの人々に多様な生物からなる 河川生態系への知識と関心を高めてもらうことがこの手引きの目的です。

3. [ ふるさとの心 ]  郷土愛と自然体験

童謡「ふるさと」の歌を思い出してみましょう。

作詞/高野辰之 作曲/岡野貞一

兎(うさぎ)追いし かの山    小鮒(こぶな)釣りし かの川
  夢は今もめぐりて       忘れがたき ふるさと

この歌を口ずさんでみると、人々にとって何故自然体験が必要なのか誰にでも理解できるのではないでしょうか。 またすべての水辺案内人が初心に戻るための原点がこの詩にあるように思います。