法令編  水辺体験に関係する法令について

ここでは水辺体験を実施するにあたり遵守すべき法律を漁業法を中心に説明しています。また便宜上埼玉県を例に説明していますが、 各都道府県がそれぞれ漁業調整規則を定め内水面漁場管理委員会を置くことが漁業法により定められています。そして第5種共同漁業権を 各都道府県により認可された内水面漁業協同組合が存在する河川では、それぞれの漁業権魚種の保護増殖の義務を各漁協が負いそれぞれに 遊漁規則を定めているのは全国共通の仕組みです。また水産資源保護法と外来生物法については内水面(河川、湖沼)と関連のある部分を 取り上げました。それぞれの法律について更に詳しく勉強されたい場合は末尾のリンクをご活用ください。

(1)埼玉県内の大多数の河川と一部の用排水路・湖沼では第五種共同漁業権が免許され、各漁業協同組合が漁場管理を行っています。 水産資源の保護培養・漁業調整等の観点から、次の規則によって漁業や釣りなどの制限がされています。 主催者(事業計画者)は事業実施にあたり以下のような関係法規がある事を留意しなければなりません。

  • @ 漁業法
  • A 水産資源保護法
  • B 外来生物法
  • C 埼玉県漁業調整規則
  • D 埼玉県内水面漁場管理委員会指示
  • E 遊漁規則

(2)主催者(事業計画者)は事業実施にあたり以下のような行政機関に届け出(許可申請)をすることを留意しなければなりません。

  • @所轄漁業協同組合
  • A各市町村の農政又は水産担当部署
  • Bその他
  • 事業を行う河川に漁業権については農林部生産振興課へお問い合わせ下さい。
  • 大規模なイベントや河川敷を含む河川を占有する場合は、所轄の県土木事務所にお問い合わせください。

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漁業法について

漁業とは一体何なのでしょうか。川で楽しむ釣りやタモ網を使った水遊びも内水面で行われる漁業(遊漁)なのです。 大げさに思われるかもしれませんが該当する河川の第五種共同漁業の免許を受けた漁業協同組合の定める遊漁規則が適用されます。 ここでは漁業法の中から特に内水面漁場管理に関連する部分を抜粋し※印でそれぞれ解説を加えました。 また参考として埼玉県内の漁業協同組合一覧を内水面漁業の項に付け加えてあります。 

T 総則

【この法律の目的】
第1条 この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によって水面を総合的に利用し、もって漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする
【定義】
第2条 漁業とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。
【適用範囲】
第3・4条 漁業法の適用範囲は、公共の用に供する水面と、これに連接一体の水面である。
※公共の用に供する水面とは、水産動植物の採補に関し、一般の公共使用に供されているもので、水面の敷地が私用であるか、公用であるかは原則として問題になりません。

U漁業権

第6条 漁業権とは、定置漁業権、区画漁業権、共同漁業権をいう。
1「定置漁業権」とは、定置漁業を営む権利をいい、「区画漁業権」とは、区画漁業を営む権利をいい、「共同漁業権」とは、共同漁業権を営む権利をいう。

※「区画漁業権」とは、囲まれた一定の区域内において営む養殖業等を言います。
また「共同漁業権」とは、一定の水面を共同利用して営むものをいいます。
埼玉県では次の漁業権が免許されています。

@第二種区画漁業権・・・ため池等での養殖業を営む漁業 
個人に対し免許(免許期間5年間)
A第五種共同漁業権・・・河川、湖沼、用水路等(内水面)を共同利用して営む漁業権
水産業共同組合法の認可のあった組合のみに免許されます。(免許期間10年間)

V漁業権の免許

【漁業の免許】
第10条 漁業権の免許を受けようとする者は、知事に申請して免許を受けなければならない。

W 漁場調整

【漁業調整委員会の指示】
第67条 海区漁業調整委員会(内水面漁場管理委員会)又は連合海区漁業調整委員会は、水産動植物の繁殖保護を図り、 漁業権又は入漁券の行使を適切にし、漁場の使用に関する紛争の防止又は解決を図り、その他漁業調整のために必要があると認めるときは、 関係者に対し、水産動植物の採補に関する制限又は禁止、漁業者の数に関する制限、漁場の使用に関する制限その他必要な 指示(委員会指示)をすることができる。

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X 内水面漁業

【内水面における第五種共同漁業の免許】
第127条 内水面における第五種共同漁業は、当該内水面が水産動植物の増殖に適しており、かつ、 当該漁業の免許を受けた者が当該内水面において水産動植物の増殖をする場合でなければ、免許してはならない。

※内水面漁業の性格
内水面では、一部の大湖沼を除き、漁業で生計を立てる者の数が少なく、地域の住民による採補や遊漁が普通に行われてきました。 また、内水面は海面と比べると自然的な豊度が低く、操業が容易なため多数の採捕者の集中などにより資源が枯渇するおそれがあります。 このため、資源の維持増大及び有効な利用を図るためには、漁業共同組合に漁業権を付与し、組合が水産動植物の積極的な増殖を行うことを 義務づけ、組合の自主的な努力によって魚類資源等の管理を適切に行うことが必要とされています。

※埼玉県内の漁業協同組合(平成22年1月現在)
名称 住所 電話番号・FAX番号
秩父漁業協同組合 〒369-1801 秩父市荒川久那4001‐1 0494-22-0460
(FAX 0494-25-2615)
埼玉中央漁業協同組合 〒360-0026 熊谷市久下1831 048-521-2919
(FAX 048-521-2919)
武蔵漁業協同組合 〒355-0077 東松山市上唐子588 0493-23-8212
埼玉西部漁業協同組合 〒350-0227 坂戸市仲町11-5 049-281-2901
(FAX 049-281-2901)
入間漁業協同組合 〒357-0046 飯能市阿須343-1(飯能市林業センター内) 042-973-2389
(FAX 042-973-2353)
埼玉南部漁業協同組合 〒330-0802 さいたま市大宮区宮町2-47 048-642-5706
(FAX 048-642-5706)
児玉郡市漁業協同組合 〒367-0051 本庄市本庄4-8-33 0495-22-3950
(FAX 0495-22-3950)
北埼利根漁業協同組合 〒349-1133 北埼玉群大利根町琴寄928-1
(連絡先:〒349-1155 大利根町砂原682鈴木方)
0480-72-2074(鈴木方)
埼玉県北部漁業協同組合 〒347-0105 北埼玉群騎西町騎西51-7 048-833-3733(県漁連)
埼玉東部漁業協同組合 〒343-0844 越谷市大間野町4-48-2 048-985-1099

Y 遊漁規則

     
【遊漁規則】
第129条
  1. 内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者は、当該漁場の区域においてその組合員以外の者のする水産動植物の採補(以下「遊漁」という。)についての制限をしようとするときは、 遊漁規則を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
  2.  前項の遊漁規則(以下単に「遊漁規則」という。)には次に掲げる事項を規定するものとする。 一 遊漁について
    二 遊漁料の額及びその納付の方法
    三 遊漁承認に関する事項
    四 遊漁に際し守るべき事項
    五 その他省令で定める事項
  3. 遊漁規則を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
  4. 第1項又は第3項の認可の申請があったときは、都道府県知事は内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければならない。
  5. 都道府県知事は、遊漁規則の内容が次の各号に該当するときは、認可をしなければならない。
    一 遊漁を不当に制限するものでないこと
    二 遊漁料の額が当該漁業権に係る水産動植物の増殖及び漁場の管理に要する費用の額に比して妥当なものであること。
  6. 都道府県知事は、遊漁規則が前項各号の1に該当しなくなったと認めるときは、内水面漁場管理委員会の意見を聴いて、その変更を命ずることができる。
  7. 都道府県知事は、第1項又は第3項の認可をしたときは、漁業権者の名称その他の省令で定める事項を公示しなければならない。
  8. 遊漁規則は、都道府県知事の認可を受けなければその効力を生じない。その変更についても、同様とする。

Z 内水面漁場管理委員会

【内水面漁場管理委員会】
第130条
  1. 都道府県に内水面漁場管理委員会を置く。
  2. 内水面漁場管理委員会は、主務大臣及び都道府県知事の監督に属する。
  3. 内水面漁場管理委員会は、当該都道府県の区域内に存する内水面における水産動植物の採補及び増殖に関する事項を処理する。
  4. この法律の規定による海区漁業調整委員会の権限は内水面における漁業に関しては、内水面漁場管理委員会が行う。
委員会指示について

埼玉県では釣り上げたり採ったりしたコクチバスの再放流(リリース)は禁止されています。またコイペルペスのまん延を予防するために 生きたコイの持ち出しや持ち込みも制限されています。これは埼玉県漁場管理委員会の委員会指示によるものです。 内水面漁場管理委員会指示は各都道府県の漁業調整規則に準じ遵守しなくてはなりません。

(1)コクチバスのリリース禁止等に係る内水面漁場管理委員会指示

埼玉県内水面漁場管理委員会公示

漁業法(昭和24年法律第267号)第67条第1項及び第130条第4項の規定により、水産動植物の保護を図るため、次のとおり指示する。

埼玉県内水面漁場管理委員会会長

1 指示内容
コクチバスを採補した者は、採補した河川及びその連続する水域にこれを再び放し、又は生かしたままその水域から持ち出してはならない。ただし、公的機関が試験研究に供する場合は、この限りでない。
2 対象区域
荒川、入間川、越辺川、有馬川及び神流川
3 期間
平成20年4月1日から平成22年3月31日まで

(2)コイヘルペスウイルス病のまん延防止に係る内水面漁場管理委員会指示

埼玉県内水面漁場管理委員会公示

漁業法(昭和24年法律第267号)第67条第1項及び第130条第4項の規定により、水産動植物の保護を図るため、次のとおり指示する。

埼玉県内水面漁場管理委員会会長

1 指示内容
コイヘルペスウイルス病のまん延を防止するため、県内の公共用水面及びこれと連接一体をなす水面においては、内水面漁場管理委員会が 承認した場合及び県が疾病検査を行う場合を除き、コイの生きたままの持ち出し及びコイの持ち込みをしてはならない。
2 指示期間
平成21年4月28日から平成22年4月27日まで

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水産資源保護法

この法律は、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたって維持することにより、漁業の発展に寄与することを 目的としています。内水面において注意すべき条項として河川に遡上したサケの採捕禁止があります。 埼玉県では群馬県境を流れる利根川水系に10月から12月にかけて多数のサケが遡上しますが捕まえることはできません。 また北海道など地域によっては河川に保護水面が指定され魚類だけでなく一切の水生生物の採捕禁止になっているケースもあります。

(内水面におけるさけの採捕禁止)第25条 漁業法第8条第3項に規定する内水面においては、溯河魚類のうちさけを 採挿してはならない。ただし、漁業の免許を受けた者又は同法第65条第1項若しくは第2項及びこの法律の第4条第1項若しくは第2項の 規定に基づく農林水産省令若しくは規則の規定により農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けた者が、当該免許又は許可に基づいて 採捕する場合は、この限りでない。

外来生物法 (特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)

国が定める外来生物法も生物を扱う全ての国民が遵守すべき重要な法律です。その精神は生物の多様性は人類の生存に 恵みをもたらし必要不可欠なものとする国際的な合意により1992年に作られた「生物多様性条約」を我が国が批准したことと深く 関わっています。
我が国の外来生物法では具体的に特定外来生物を定め注意を促しています。特定外来生物とは、海外起源の外来種であって、 生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されています。
埼玉県において特に注意が必要な魚類としてはブルーギル、オオクチバス、スモールマウスバス、チャネルキャットフィシュなどが あげられます。 またそのほかの水辺の生物ではウシガエルなども 特定外来生物に指定され飼育、栽培、保管及び運搬することが禁止されています。また埼玉県は上記の委員会指示によってコクチバスは リリースが禁止されているので特に注意しましょう。アメリカザリガニ、ミシシッピーアカミミガメ(通称ミドリガメ)は要注意外来生物に指定されています。